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部屋で待つ女性と決められた結婚

正月に群馬の生家に帰ると、父から、「結婚式は四月だから」と、一方的に告げられた。となりの旅館の娘とはたまに電話で話してはいたが、二人の間で結婚を具体的な話題にした覚えはなかった。娘の母、つまりは旅館のおかみが気弱な父に強引に話を持ち込んできたらしい。僧になる修行もつらかろうな、と考えていたところだったので、U医師は積極的に賛成もせず、かと言ってかたくなに反対もしなかった。「じゃあ、おれの方で準備するからそれでいいな」と、父が念を押したので、「ああ」と、正月の酒に酔った勢いで答えておいた。それまで黙っていたU医師の育ての親である祖母が、「おまえは陰にこもる子だから、嫁にはああいう明るい娘がいい」と、一言だけ値千金の発言をした。3日間の正月休みを終えて病院にもどると、独身寮の部屋には重箱におせち料理をつめて看護婦が待っていた。彼女に合鍵を渡すようになったのは2か月ばかり前からだった。小さな座卓に向き合って、黙って酒を飲んだ。こちらから話しかけないかぎりロを開かない女だったので、U医師が結婚の話を切り出さない以上、た。二人は無言だった。