毛皮業界の状況を総括するのが難しいのは、地域によって成功の度合いにかなりのばらつきがあるためだ。たとえば、アメリカ中西部の売上はうなぎのぼりなのに、南部では伸び悩んで撤退する企業さえある、などというケースも考えられるわけである。だが、FICAによれば、二〇〇〇年にはアメリカの小売業者の八八%が増収を報告しており、毛皮の隆盛は特定の地域に限定されているようには見えなかった。しかし、毛皮業界が発表する統計がどれもこれも毛皮製品の人気急騰ぶりを豪語する内容だったのに対して、正反対の発言もあった。「私としては業界が言うほど毛皮人気が盛り返してきたとは思ってないけど、業界がそう言っていることで、信じ込む人々も出てきたようね」。こう語るのは、オレゴン州ポートランドに住む動物愛護問題のベテラン活動家、エレイン・クロースである。「そうやって大衆に思い込ませようとするのがいけないのよ。問題は、みんな移り気だってこと。そんなふうにしたら、過去には毛皮は人気がないから使わないと言っていたデザイナーだって、使うようになっちゃうじゃないの」。同様に、〈動物の倫理的処遇を求める人々の会〉(PETA)も、毛皮が再び脚光を浴びていると言われていることに反駁している。そして、一般の消費者の中にも、依然として毛皮を欲しがらない人々もいる。「正直言って、周囲でファーを身につけている人なんかいないし、これからファーの付いた服を買いそうな人も思い当たらないわ」。コネチカット州スタンフォードで会計士をしている二七歳のジェイミーが言う。「とにかく、私の知り合いって、ダイヤモンドをちりばめたような豪勢な装いには別に興味ない人ばかりなのよ。みんな、ファーとは逆の、シンプルな生地や面白い風合いのものが好きなの……フェイク・ファーだって着ないんだから」。影響を受けやすく、いつでも次の最新トレンドに飛び付く用意のできているファッション・ヴィクティムは、毛皮の復活に心惹かれると同時に、心を痛めてもいた。それまで自分が毛皮を着るなんて思いも寄らなかったのに、突然、着るべきかという問題に直面してしまったからである。